物 に対する誹謗中傷
誹謗中傷によって傷つき、自ら命を絶ってしまう方が後を絶ちません。
人の命が何ものにも代え難いことは言うまでもありませんが、誹謗中傷の対象は「人」に留まらず「物や財産」が攻撃されるケースもあります。
どのような被害・リスクがあるのか、具体的な事例を交えて確認していきましょう。
ネット社会が生んだ販売競争

パソコンやスマートフォンが普及したことで、インターネットで簡単にショッピングを楽しめるようになりました。
その手軽さからユーザーの購買意欲は上昇し、需要が大きくアップ・経済の活性化といった多数のメリットを生み出しました。
当然、需要が増えれば供給(商品を開発する企業や販売店)も比例して増えていきますので、商品を売りたい側はどうにかしてライバルとの差別化を図らねばなりません。
もちろん、これはユーザー側にも同様のことが言えます。
例えば、AとBという2種類の商品があった場合「どちらの方がより優れているのか」と考える方がほとんどですし、Aという商品の販売店が2つあった場合は安い方を選択するのが一般的でしょう。
なお、ユーザーや販売側は以下のコンテンツによってデメリットを被る可能性がありますので、念のために確認しておきましょう。
ECサイトの口コミ・評価
多くのECサイトには、ユーザーが使用感や満足度を投稿できる「レビュー」と呼ばれる機能が設けられています。
実際に購入した人の生の声が聞けるためユーザー側にとっては大変有意義な機能と言えますが、誰でも簡単に投稿できてしまうという問題点もあります。(例えば、サクラを雇って良い口コミや評価を投稿する・反対にライバル企業やその製品に対して良くない評価を投稿する等が挙げられます。)
このようなレビューが続いてしまうと、当然ユーザーは正当な判断を下すことができません。
比較サイトによる印象操作
比較サイトとは文字通り複数ある製品を比較するサイトのことで、対象は「物」だけではなく、保険や各種サポートといった「サービス」も含まれます。
同コンテンツは販売側がサイト所有者(メディア)に掲載を依頼し、契約内容に応じて広告費や報酬を支払う形ですので、メディア側は報酬が発生するクライアントを優遇しようと考えるのが通常です。
したがって、同サイトのランキングや評価は根拠を帯びないものとなり、ユーザーを迷わせてしまう恐れがあります。
また、クライアントを高く評価しクライアント以外を悪く評価する等で、都合の良い方へ誘導されてしまう可能性も否定できません。
さらに、利用者だけではなく悪く書かれてしまった企業も不利益を被ってしまいます。
特定物に関する誹謗中傷

世の中に1つしかないもののことを「特定物」といい、例えばレアな中古自動車やヴィンテージ物の時計・不動産等は同じものが2つとして存在しませんので、法律上特定物に該当します。
特定物は不特定物とは異なり代わりがありませんので、誹謗中傷による損害が大きい点に注意せねばなりません。
中でも不動産は一生に一度あるかないかの大きな買い物であり、同不動産の物件情報はもちろん、周辺情報・価格動向等のリサーチは多くの方が行います。
そのため、土地や建物(一戸建てやマンション)に関する口コミを投稿できるコミュニティサイトは数多く存在しており、万が一自身の持つマンションや周辺地域を悪く書かれてしまうと、資産価値が下がってしまう恐れがあります。
これから売却する方は特に注意
「あの家は過去に自殺者が出ている」
「隣の家主が反社会的勢力(または異常者など)」
などの誹謗中傷書き込みがなされてしまうと、当該物件は売りづらくなってしまいます。もちろん価格を下げればいずれは売れますが、場合によっては“数百万円下げても売れない”という可能性もあります。
このような被害に遭ってしまった場合は、できるだけ早めにサイト運営者に削除を依頼する、弁護士に相談する等で対応してください。