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広がる誹謗中傷

進化する誹謗中傷とその対策

雑誌・新聞広告・折込チラシ・看板・電車等の吊り下げ広告…
今までは紙媒体が当たり前であった各種広告ですが、パソコンやスマートフォンの普及により、「バナー広告」「メール配信」といった“デジタル媒体”が多く見られるようになりました。

デジタル化は生活する上で非常に便利である上に、前述したように「紙が不要」となるエコロジーな面もあり、大きな技術革新であることは間違いありません。
一方で、法整備(法律・条例・条約等)や各種規制が追い付いておらず、人権侵害の温床となってしまっているのも一つの事実です。
「法律では保護されない」という状況が続く状況の中、インターネット内で誹謗中傷の被害に遭ってしまった方はどのように対策を行うべきなのでしょうか。
インターネット上の誹謗中傷被害の推移や対策方法についてまとめましたので、是非ご参考ください。

相談件数の推移

スマートフォンでご覧の場合は横にスクロールしてご覧ください。

相談内容 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
詐欺・悪質商法 36,237 58,340 67,026 67,480 67,268
迷惑メール等 10,682 14,185 16,634 14,583 11,511
名誉毀損・誹謗中傷等 9,425 9,757 10,398 11,136 11,749
不正アクセス・ウイルス等 6,220 9,550 7,089 9,530 11,936
違法・有害情報 3,132 5,080 4,854 6,913 4,024
ネットオークション 5,950 6,545 6,274 5,440 5,771
その他 13,217 14,643 15,822 16,436 17,752
参考警視庁発表「サイバー空間に関する統計等」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/index.html

上記記事によると、平成29年には合計13万件を超えるサイバー犯罪に関わる相談があったことが分かっており、うち誹謗中傷に関する相談は11,749件と、2013年から依然として増え続けています。
しかしながら、誹謗中傷(名誉棄損罪)による検挙件数

2013年…1,260件2014年…1,206件2015年…1,410件2016年…1,430件2017年…1,453件

と、僅か10%程度に留まっているのが現実です。

今後も被害は広がる?

右肩上がりに増え続ける誹謗中傷の摘発件数ですが、多くの省庁が対策へと乗り出しており、徐々に被害は沈静化へと向かう見込みです。
例えば、法務省では“人権侵害”という言葉を用いてインターネット利用時の注意点を動画で啓発したり、相談窓口を設置したりしています。

参考法務省「人権相談窓口」
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html

参考人権啓発ビデオ「インターネットと人権~加害者にも被害者にもならないために~」

ただし、冒頭でもお伝えした通り「法整備」は中々実施されておらず、いずれも即効性がある対策とは言い難いです。

誹謗中傷の逮捕事例

比較的軽微な犯罪とされる名誉棄損ですが、実際に「逮捕」された事例も。

誹謗中傷による名誉毀損で逮捕された男性
男子高校生が自殺

SNSによる書き込みを苦にし、実際に自殺をしてしまったというケースもあります。
関係者によると、滋賀県内に住む高校生Aさんは2015年7月から2016年9月までの間SNS上で誹謗中傷の被害に遭い、悩んでいたそうです。
2016年9月にAさんが自殺していたことが判明したことで今回の誹謗中傷被害が明らかとなりました。
これを受け、滋賀県警察は東京都文京区に住む無職の19歳を名誉棄損容疑で逮捕しています。


スマイリーキクチさん

スマイリーキクチさんは、1988年に起こった「女子高生コンクリート詰め殺人事件」に深く関わっていたという嘘の書き込みによって多くの誹謗中傷を浴びました。
実際にはそのような事実はなく、真意が不明のままインターネット上で噂だけが広まっていき、芸能活動はもちろん実生活にも多くの影響を受けてしまう事態へと発展しました。
最終的に合計19人もの男女が名誉棄損容疑で逮捕されることとなり社会に大きな衝撃を与えましたが、ほとんどの容疑者が不起訴や起訴猶予となっています。

専門業者又は弁護士による対策

誹謗中傷から被害者を守る六法全書

インターネット上の誹謗中傷が増えた事により、現在ではサイトの書き込み削除やサイトそのものの削除又は非表示を請け負う業者(ネット誹謗中傷対策会社)や、加害者との交渉や裁判手続を専門に行う弁護士等も非常に増えています。
両者共、最終的に「誹謗中傷対策を目的としている」という点は一致しておりますが、効果やスピードは全く異なります。

例えば、対策会社の場合は該当する書き込みやサイトの削除は非常に素早いですが、裁判上の代理をすることができませんので、他の弁護士に委託しなければなりません。
一方で、弁護士は法的措置については迅速であるものの、逆SEO対策や非表示や削除の手続等については比較的遅い又は対応していない傾向が見られます。
ネットタトゥー化を防ぐためにも、状況をしっかりと把握した上で対策の依頼先を決めるようにしましょう。