悪質な誹謗中傷は罪に問われる

TwitterやインスタグラムなどのSNSが普及し、誰でも気軽にインターネットに触れられる時代となりました。
情報収集及び共有をはじめ、様々な方法によって意思疎通が図れるようになり、人々の感性・自己アピールの手段がより豊かになったと言えます。
一方で、行き過ぎた自己主張や協調圧力などによって、特定の人が誹謗中傷の被害に遭ってしまうケースが相次いでいます。
無関係の事件の犯人とされ長年にわたり誹謗中傷されてしまった、リアリティーショーでの行動がきっかけで誹謗中傷され命を絶ってしまったなど、たった一つの書き込みが人の人生を狂わせてしまう可能性も十分にあるのです。
匿名で何を書いても許される時代は終わりました。
悪質な書き込みは「プロバイダ責任制限法」に基づいて投稿者が特定され、場合によっては刑事罰に問われる恐れもあります。
罪に問われる書き込みとは?

悪質な書き込みをした場合、以下のような罪に問われる可能性があります。
侮辱罪
具体的な事実を告げることなく相手を侮辱した場合は侮辱罪が成立します。
「バカ」「クズ」「ハゲ」「デブ」「ブサイク」といった抽象的な誹謗中傷がこれに該当し、成立すれば「拘留または科料」に処されます。
名誉棄損罪
社会的な地位や名誉を定価させるような書き込みは名誉棄損罪が適用されます。
書き込みの内容の真否は関係なく、たとえ事実であったとしても名誉棄損罪が成立する可能性は十分にあります。
成立すれば「3年以下の懲役または禁固または500年以下の罰金」に処されます。
脅迫罪
相手の生命や身体、自由や名誉、財産などに害を与えるような書き込み(例:家に火をつけてやる・お前の家族に危害を加えてやる等)は脅迫罪に該当します。
成立すれば「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」に処されます。
信用毀損及び営業妨害罪
企業や商店などに対して評判を落とすような内容の書き込みをし、売上減少や顧客対応等で営業に支障が出た場合は信用毀損及び営業妨害罪が成立します。
成立すれば「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます。
損害賠償や慰謝料を請求される可能性も
悪質な書き込みは、刑罰だけではなく民事(不法行為に基づく損害賠償請求など)で訴えられる可能性もあります。
具体的には、誹謗中傷によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料や、営業妨害によって損害を受けた場合の補填(賠償)を請求されるケースです。
慰謝料の相場は1万~50万となっており、内容の悪質性や頻度によってはさらに高い金額となることも珍しくありません。
(過去に起こった著名人に対する名誉棄損では1,000万円の慰謝料請求が認められたケースもありました。)
また、本人が望まないのにも関わらず住所や年収などの個人情報を公開すると、「プライバシーの侵害」にあたります。
プライバシーの侵害自体に刑罰はありませんが、慰謝料請求の対象となります。
相手に見つかる前に削除したほうがよい

時間が立つにつれて相手の目に触れる可能性が高まるばかりではなく、第三者によって拡散され、刑罰・民事訴訟に至る…その恐れは十分に考えられます。
さらに、誹謗中傷を苦に自ら命を絶ってしまう・精神を蝕んでしまう可能性も否定できません。
そのため「書き込んだ直後はすっきりしたが、後になって後悔している…」という方も多いのではないでしょうか。
もしも勢い余ってSNSや掲示板等で誹謗中傷に当たる書き込みをしてしまった場合の対処法について、予め知っておきましょう。
直接削除申請を行う
SNSやブログの自分の投稿は比較的簡単に削除できますが、掲示板への書き込みの場合は簡単には削除できません。
特に5chは「原則として裁判所の判断に従う」というスタンスを採っており、個人からの申請に応じる可能性は非常に低いです。
しかしながら、書き込みの内容や掲示板の運営方針次第では削除に応じてもらえることもありますので、まずは削除要請フォームや問い合わせフォームから運営に依頼し、対応を待ちましょう。
法的手段による削除申請
誹謗中傷や掲示板の書き込みがSNSによって拡散されてしまう・コピーサイトやまとめサイトに転載されてしまうなど、時間の経過と共に削除はどんどん難しくなっていきます。
したがって、万が一誹謗中傷に当たる書き込みをしてしまった場合はできるだけ早めに対処することが重要です。
しかしながら、前述した通り個人の申請を受け付けていないコンテンツもあるなど、対処には限界がある上に時間も消費してしまいます。
早急に対処するのであればやはり弁護士に削除を依頼するのがオススメです。
直接掲示板の運営側と交渉(裁判外での交渉)が可能な上に、万が一削除に応じてもらえない場合は裁判所に削除を申し立ててもらうこともできます。
自己投稿の削除はスピードとの戦い

悪質な書き込みは一刻も早く削除しないと刑事事件や民事訴訟に発展する恐れがあります。
さらに、既に被害者が被害届を提出している場合、削除申請・が証拠隠滅に該当する可能性がありますので対応にはくれぐれもご注意ください。
書き込んだことを後悔されているのであれば、法律の専門家である弁護士への相談がベターでしょう。
しかし、やはり最も重要なのは「安易な気持ちで誹謗中傷を行わないこと」です。
他人への攻撃はもちろん、ご自身の主張が他人を傷つけてしまう恐れがあることを絶対に忘れてはなりません。
くれぐれも、ネットリテラシーをしっかりと身に付けた上でインターネットコンテンツを楽しむようにしてください。